12/19に開催したセミナー(動画もアップしてます)の骨子をAIにまとめてもらいました。
技術系地方公務員改革に向けた本音 ― 第11回オンラインセミナー骨子
本セミナーは、「技術系地方公務員改革に向けた本音」をテーマに、全国の中でもとりわけ先進的・挑戦的な実践を続けてきた技術系公務員が集い、現場感覚に根ざした課題認識と将来像を率直に語り合う場として開催されました。登壇者はいずれも、特定の組織や団体を代表する立場ではなく、一技術者としての個人的見解を共有する点に特徴があります。
1.登壇者と問題意識の共有
司会は元気なインフラ研究所所長・松永氏が務め、サブコーディネーターとして横浜国立大学・細田氏が参加しました。登壇者は、熊本県玉名市で橋梁メンテナンスに長年携わり、研究・実践の両面で高い評価を受けてきた木下氏、愛知県で30年にわたり現場執行を担ってきた宮川氏、そして富山県高岡市で道路管理を中心に奮闘する彌永氏の3名です。
冒頭では、技術系公務員が直面する共通課題として、人員減少と業務過多、若手職員の離職やメンタルヘルスの問題、いわゆるカスタマーハラスメント(強度な苦情)への対応が挙げられました。特に基礎自治体の現場では、道路管理や賠償対応など、市民生活に直結する業務を少人数で担わざるを得ず、事後対応に追われる構造的な厳しさが浮き彫りになりました。
2.「知られていない仕事」と評価の欠如
木下氏からは、技術系公務員の仕事そのものが社会に十分理解されていないという根本的な問題が提示されました。インフラを支える日常的な業務は目立ちにくく、その価値が評価ややりがいにつながりにくい現状があります。さらに、公務員組織に根付く減点主義の評価制度が、挑戦や創意工夫を抑制している点も課題として指摘されました。
加えて、自治体ごとに人口構成や人材層が大きく異なる中、従来型の人材育成や技術継承が限界を迎えつつあることも共有されました。インフラの重要性が社会全体で十分に認識されていないことは、将来的な担い手不足や安全性低下につながりかねない、極めて深刻な問題です。
3.分業社会の功罪と現場の疲弊
宮川氏は、県の現場執行機関の立場から、分業と制度高度化がもたらした変化を語りました。かつては予算を執行すれば地域の価値向上が実感できた一方、現在は点検・調査・再評価といったプロセスが増え、投資効果が見えにくくなっています。その結果、技術者が自ら考え、地域をつくっているという実感を持ちにくくなり、ルーチン業務に追われる疲弊感が強まっているという指摘がなされました。
4.「つなぐ」試みとしての「そらゑ」
こうした状況に対する一つの実践として、木下氏が立ち上げた技術系公務員のためのネットワーク「そらゑ(一般社団法人行政エンジニア支援機構)」が紹介されました。目的は、孤立しがちな技術系公務員同士をつなぎ、安心して悩みや失敗を共有できる“第三の場所”をつくることにあります。
特に重要なのは、立場や組織を越えて「人」としてつながる点、そして公務員限定のクローズドな場とすることで、失敗事例や試行錯誤を率直に共有できる点です。これは、失敗から学ぶ文化を育み、個々の技術力と精神的な持続性を高める試みでもあります。
5.広がる影響と希望
彌永氏や宮川氏からは、そらゑの存在が大きな刺激と励みになっていることが語られました。一地方自治体の一技術職員であっても、行動次第で全国に影響を与え得ること、その姿が同じ立場の技術者に勇気を与えていることが共有され、議論は次第に前向きな雰囲気へと転じていきました。
6.今後に向けて
セミナー全体を通じて浮かび上がったのは、技術系公務員の課題は個人の努力だけでは解決できず、制度・評価・社会理解を含めた構造的な問題であるという点です。その一方で、人と人をつなぎ、失敗も含めて知を共有することで、現場から変化を起こせる可能性も示されました。
住民や社会に対してインフラの価値を「伝える」こと、技術系公務員の役割を「見える化」すること、そして仲間同士が支え合いながら挑戦を続けられる環境を整えること。これらが重なり合った先に、持続可能なインフラと行政の未来が拓けていく――本セミナーは、その確かな手応えと希望を共有する場となりました。
元気研オンラインセミナー「革新的な法面工事」の要旨
12/10に実施した1時間のセミナー(動画もアップしてます)の骨子をAIにまとめてもらい、修文しました。
「水で山を制す ― 法面対策における発想転換と新たな技術の可能性」
1.はじめに
法面(のりめん)工事は、長年にわたり日本の社会基盤を静かに支えてきた重要な分野です。従来、この分野では「崩壊を防ぐために力で押さえる」という考え方が基本とされてきました。ロックボルトやグラウンドアンカー、法枠工といった工法は、斜面の不安定化に対して物理的な抵抗力を付与することを主眼として発展してきました。
しかし近年、こうした従来の設計思想を根本から見直す動きが現場レベルで生まれつつあります。その中で注目されているのが、「水」に着目した対策手法です。
斜面崩壊の主因は土そのものではなく、地盤内に発生する過剰間隙水圧であることが多く、斜面災害の本質は「水の挙動」にあると整理できます。本セミナーでは、水に着目した新しい法面対策技術の思想と実装の可能性について議論がなされました。
2.現場経験に根ざした技術者の視点
今回のセミナーの主役のエンタさんは、長年の現場経験を積んだ技術者です。大手法面施工会社において、施工管理と作業を兼務しながら、数多くの現場を経験してきました。
設計者が常駐しない環境において、自ら設計や積算の知識を独学で習得し、現場で即応できる体制を整えてきました。また、プログラミングやCAD操作の自動化にも取り組み、施工現場の効率化を継続的に進めてきました。
独立後も、業界の実情や技術的課題について情報発信を続け、国内外の技術者との交流を通じて視野を広げてきました。2025年にはケニアに渡航し、豪雨によるガリー侵食やシンクホール、ソイルパイプといった途上国特有の斜面崩壊現象を現地で確認する機会を得ました。
これらの経験から得られた最も重要な知見は、「やはり問題の本質は水にある」という認識でした。
3.従来工法に対する再検討
従来の法面安定対策は、斜面を「力で止める」ことを基本としてきました。滑動の兆候が見られればロックボルトを打設し、深層に対してはグラウンドアンカーによって抵抗力を与えます。
しかしながら、このアプローチでは「なぜ滑るのか」という根本要因に対する十分なアプローチが行われていない場合があります。斜面内部に蓄積する地下水が間隙水圧を高め、それが有効応力を低下させることで地盤強度が著しく低下する現象は、土質力学の観点からも明らかとなっています。
すなわち、本質的な対策は「止める」ことよりも先に、「圧力を発生させる水を適切に排除する」ことであると整理できます。
4.水抜きロックボルトという発想
こうした考え方を具現化したのが、「水抜きロックボルト」という技術概念です。
従来は別々に設計・施工されてきた以下の二つの機能、
・地盤を補強するロックボルト機能
・地下水を排出する集排水機能
これらを一本の部材に統合するという発想に基づいています。
本構造では、先端部に集水機構を設けつつ、内部に鉄筋等の補強材を挿入し、同時にグラウトで定着させます。これにより、水圧の低減と地山補強を同時に実現することが可能となります。

この発想は理論的には極めて合理的でありながら、従来の慣行の中では見落とされてきた側面があり、技術史的に見ても一種の発想転換と位置づけることができます。
5.施工面における現実性
本技術の大きな特長は、既存の施工インフラを大きく変更せずに導入可能である点にあります。
一般的な法面用削孔機による施工が可能であり、二重管工法・単管工法のいずれにも対応可能です。特段の大型機械や新規設備を必要としないため、現場の施工計画に与える影響を最小限に抑えることができます。
現在は主として「試験施工」という位置づけで、一部現場において実証的な導入が進められています。発注者との協議のもと、限定的な本数で導入し、湧水量や間隙水圧の低下状況を実測により把握する取り組みが行われています。
6.インフラ整備思想への示唆
本技術が示唆するものは、単なる新工法の提案にとどまりません。
従来のインフラ整備は、「大きく、強く、重く」という方向性で発展してきました。しかしながら、人口減少や熟練技能者の減少、維持管理費の増大といった社会的制約条件を踏まえると、こうした方向性の継続には限界が見え始めています。
今後求められるのは、「必要な機能を、必要な分だけ、長く使えるかたちで提供する」という合理的設計への転換であると考えられます。
「水を抜くことで安定性を確保する」という思想は、構造を過度に肥大化させることなく安全性を確保する道を示しています。
7.海外経験から得られる視座
エンタさんの、ケニアやネパールといった地域における経験は、日本の土木技術に対する視点を相対化する契機となったそうです。
これらの地域では、資材や機械が潤沢に存在することを前提とした設計は現実的ではありません。そのため、「いま、ここにあるもので、いかに機能させるか」という思考が技術の出発点となっています。
この視点は、災害復旧や応急対応、さらには地方自治体における維持管理技術の再構築といった領域にも応用可能な示唆を含んでいます。
8.おわりに
今回のセミナーで紹介した技術の本質的な価値は、新しい材料や特殊な装置そのものではなく、「考え方の転換」にあります。
「力で止める」から「水を抜いて力を減らす」へ。
「押さえ込む」から「逃がす」へ。
「対抗する」から「調和させる」へ。
今後の土木技術は、「強さ」を競う時代から「持続性」を重視する時代へと確実に移行していくと考えられます。その中で、「水を制する」という視点は、のり面工にとどまらず、広くインフラ整備全体に対して重要な示唆を与えるものと言えるでしょう。
元気研オンラインセミナー「社会が求める技術を読み解く教養」の要旨
11/18に実施した1時間のセミナー(動画もアップしてます)の骨子をAIにまとめてもらいました。
本セミナーのテーマは「社会が求める技術を読み解く教養」であり、インフラ技術を中心に、技術者としての教養や感性の育成、社会的責任、教育の在り方について議論が行われた。登壇者は、香川高専の林先生(コンクリート工学専門)、横浜国立大学の榑沼先生(芸術学・思想史専門)、豊穣な社会研究センター長の細田先生(コンクリート専門)、そしてコーディネーターの松永所長である。
1. セミナーの趣旨と背景
細田先生から、インフラ技術が社会に与える影響の大きさが説明され、歴史・文化・国家観を踏まえつつ、将来の社会像を描きながら新技術に挑戦する視点を議論することが本セミナーの目的とされた。松永所長は、人口減少、少子高齢化、老朽化する構造物、分断化・専門化の進展、災害や地球環境問題など、現在の社会が抱える課題を提示。特に、従来の欧米型都市化・高度経済成長期型インフラの延長では、未来の社会課題に十分対応できない可能性が指摘された。
2. 専門化と分断の課題
林先生は、コンクリート工学分野の教育・研究を通じ、橋梁メンテナンスに関わる社会人教育を実施している。ここで指摘された課題は以下の通り:
・専門分野が細分化され、材料・施工・設計・診断など各分野が孤立化している。
・専門家間で知識が共有されず、社会全体のインフラ維持に必要な総合的な理解が不足している。
・若手の早期離職や人材不足により、全体像を把握できる人材が減少している。
林先生は、教育の基本軸として「概念理解」と「用語・数値の習得」の二軸を提示。初学者は左下(理解なし・記憶のみ)から右上(理解・習得済み)のプロフェッショナルへ成長するが、概念理解を優先した学習(右下)により独学やAI活用で成長余地が大きくなると指摘した。
3. 歴史・物語による学習と動機づけ
細田先生は、技術者教育において「本物の技術者」の事例を示すことの重要性を述べた。ここでの「本物」とは、公のために誠実に尽力し、私利私欲に走らず使命感を持つ技術者を指す。
林先生も、学生に土木の歴史を通して過去の技術者の取り組みを伝え、現代に活かす教育を実施している。具体例として、コンクリート製造から建設・解体までを体験する「ゆりかごから墓場まで」の学習プログラムを紹介し、学生が物理的に現場を見て学ぶことで全体像を理解できるようにしている。また、現代ではYouTubeなどの情報発信を通じ、土木技術の価値や物語を広く伝える取り組みが重要とされた。これは、従来の文献中心の教育では見えにくかった歴史的文脈や社会的価値を補完する役割を果たす。
4. 教育の方法論と総合的理解の促進
林先生は、教育の工夫として以下の点を挙げた:
・専門分野の断片化を補うため、歴史や全体像を示す。
・概念理解を重視し、必要に応じて情報収集・分析できる力を育成。
・実際の現場や事例を体験させることで、抽象的知識と現実世界を結び付ける。
細田先生はさらに、「全体像を理解できる人が少ない」現状を指摘。若手は情報の分断により全体を把握できず、先達の知識や経験の伝達が不可欠であると述べた。
榑沼先生は、教育におけるリベラルアーツの重要性、すなわち「アーツ=分断された知識をつなぐ能力」を強調し、学びの楽しさや冒険心を通じた理解の深化が重要と述べた。
5. 社会人教育と「目利き」の育成
インフラ維持・点検の現場では、専門家不足や分業化により、適切な判断ができないまま業務が進められることがある。林先生と細田先生は、以下のような課題と解決策を示した:
・分業化により、本質的な診断・判断ができる人材が不足。
・「目利き」を育成し、権限を持つ者が本質を理解して判断できる体制が必要。
・社会全体で正しい判断を支えるガイドラインや教育・技術開発を整備することが重要。
細田先生は、メンテナンスの現場では「ほっといてよい傷」を見極める力が必要であり、経験と直感に基づく判断力が不可欠であると述べた。このため、国家レベルで分野ごとの「本物の目利き」を育成する仕組みが必要であると指摘した。
6. 技術者としての姿勢と社会的役割
松永所長は、過去の大規模インフラ事例(黒部ダム、瀬戸大橋)を例に挙げ、技術者は「できること・できないこと」を正確に把握し、社会問題を解決する視点で行動すべきだと述べた。これにより、技術者の使命感や協働意識、誠実さが支えられると整理された。さらに、セメントのように接着効果のある人材(幅広くつなぐ能力を持つ人材)を育成することが、現代の複雑な社会におけるインフラ構築・維持に不可欠であると述べた。
7. 教養教育と総合的な視座の必要性
議論を通じ、以下のポイントが示された:
・インフラ技術者には専門知識だけでなく、歴史・社会学・哲学など幅広い教養が求められる。
・教育・訓練では、現場体験・歴史事例・情報発信を組み合わせ、概念理解と実務能力を同時に育てる。
・若手が全体像を把握できるよう、経験豊富な先達による指導と、社会的な仕組み(ガイドライン・標準化)が重要。
・技術者の倫理・誠実さ、利他性の教育も社会全体で継続的に実施すべき。
・「目利き」能力の育成が、社会全体での安全・効率的なインフラ維持に不可欠である。
8. 今後の課題と展望
・教育現場では、専門分化を超えた総合的理解を促すプログラムの充実が必要。
・社会人教育や再教育においても、概念理解と実務体験を組み合わせた学習機会の提供が重要。
・技術者の倫理教育、誠実さや利他性の育成を社会全体で支える仕組みづくり。
・現代社会の情報過多時代に対応するため、良質な情報や教材を整理・発信するキュレーター的役割の人材育成。
・将来のインフラ構築・維持に向けて、接着剤的役割を持つ幅広い視野の人材(総合的判断力を持つ技術者)の育成。
本議論では、単なる技術の習得にとどまらず、社会全体の持続可能性を見据えた総合的な教養教育の重要性、歴史・現場体験を通じた学習、倫理・使命感の涵養、そして全体像を把握する力の育成が繰り返し強調された。現代の分業・専門化が進む社会において、技術者には単なる技能者ではなく、社会問題を俯瞰して解決できる「接着剤的人材」としての役割が求められる。
元気なインフラ研究所のセミナー活性化
11/18に元気なインフラ研究所の第9回のオンラインセミナーを開催しました。録画も公開しておりますので、ぜひご視聴いただければと思います。分断・専門化の進む現代において、日本が元気なインフラに支えられ、人々が生き生きと活躍できる世の中になるための有意義な議論が行えたと思っております。
第10回は、12/10(水)14:00~15:00で、テーマは「革新的な法面工事」です(録画も公開しました!)。業界で大人気のエンタさんとジョウさんが登壇されますので、お楽しみに!
第11回は、12/19(金)15:00~16:00で、テーマは「技術系地方公務員改革に向けた本音」です。橋梁の維持管理の最前線で奮闘する公務員お三方(玉名市、愛知県、高岡市)に登壇いただき、本音の議論を展開します。
第12回は、年が明けて、1/8(木)16:00~17:00で、テーマは「新時代の鋼構造とメンテナンス」です。横浜国立大学の田村洋先生(元気研の副所長)に登壇いただきます。鋼構造における「変形」と「腐食」の課題を踏まえ、特にメンテナンス上問題となる腐食への対応をテーマとします。無駄な塗装の繰り返しを避け、合理的な維持管理のために必要な研究や技術基準の方向性を探ります。今後の鋼構造の「メンテナンスしやすい姿」についてディスカッションをする回となる予定です。
その後も、企画案はできておりまして、日程が確定次第、このブログでもお知らせします。
元気なインフラ研究所のコンソーシアムへの入会にご関心の方は、こちらをご覧ください。
出張と講演
本日、学内で、私の9月1日の復職後の経過と今後の活動について判定会議がおこなわれ、2泊までの出張と、学外での講演ができるようになりました。
経過が順調であることを認めていただいての措置です。
3月11日に福井で講演することが決まっておりますが、いろんな方々と触れ合い、情報を交換し、お互いに元気になることが、私自身も元から大好きですので、今後ともよろしくお願いいたします。
リズムという生の鼓動 ― 日々の中に息づく調べ ―
人間にとって「リズム」とは、生きている証そのものだと感じます。
私がピアノを弾くとき、指の動きや音の流れだけでなく、呼吸や鼓動、心の揺らぎまでもが一体となって、ひとつの音楽をつくり出していきます。そして、その感覚は日常の中にも確かにあるように思います。
日曜日、朝の静けさから少しずつ動き始め、掃除や読書、ピアノ、坐禅、体操、サウナ、そして帰り道の歩みへとつながる一日の流れ。その中には目には見えない拍(ビート)があり、静から動へ、動から静へと移り変わることで、心と身体が自然と調和していくように感じます。
リズムがあるからこそ、私たちは「流れ」を感じることができます。それは単なる時間の経過ではなく、生命そのものが奏でる波です。
調子を崩しているときはこの拍が乱れますが、心と身体のリズムが揃っていると、何気ない動作の中にも安らぎが生まれます。
ピアノを弾くことも、坐禅をすることも、歩くことも、そのリズムを取り戻すための大切な営みなのだと思います。
年齢を重ねるにつれ、以前のような速いテンポではなく、少しゆるやかな拍で生きることを心地よく感じるようになりました。焦って速く弾くよりも、一音一音を味わいながら奏でるように。それが、今の自分に合ったテンポなのだと思います。
リズムが整っているとき、人は「今ここに生きている」という実感を得ます。それは大きな成果や高揚ではなく、呼吸のように穏やかで深い喜びです。
この静かな拍の中にこそ、人間らしいぬくもりが宿っている。そんなふうに感じています。
やり切る
一気に寒くなりましたね。先々週に急に寒くなったときに風邪を引いたようで、熱は無いし、喉も痛くないのですが、痰が絡む咳がかなりでるようになってしまいました。
先週、オンラインでの仕事が多かった日は在宅にし、とある薬も毎日一錠ずつ飲み続け、羽毛布団も出して寝るときに暖かくし、三連休明けにようやく咳がほとんどでなくなりました。
今週に締切りのある予算申請書を作成しようと思っていたのですが、上記の風邪のこともあり、11/1~3の三連休までほとんど作業ができていない状況でした。11/3の祝日に頑張って申請書作成の作業をし、結構ボリュームのある申請書類を何とか形にし、11/6の本日、Web申請を完了しました。
予算申請が採択されるかどうかは神のみぞ知る、ですが、私としては作業をやり切ったことに意義を感じています。締切りまでの時間があまり無い中で、作成しなくてはならない書類群のボリュームにげんなりした瞬間もありましたが、とにかくやり切りました。
今日は、NEXCO中日本の新東名の河内川橋(完成後は山北天空大橋)のアーチの閉合式に参加しました。河内川橋と中津川橋の技術検討委員会の委員として参加し、感謝状までいただきました。
多くの方々と会うし、少し気後れしていた面もありましたが、いろいろとコミュニケーションもできたし、楽しい時間でした。これも、「やり切る」ことの一つかと思います。
一つ一つ、やり切っていくこと、積み重ねていくことで、物事が展開されていくものと信じます。



元気なインフラ研究所のオンラインセミナー
11月18日に第9回のオンラインセミナーを開催しました。動画はこちらです!
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先週、元気なインフラ研究所の松永所長が大学に来てくれて、いろいろと話をしました。
今年度の前半、元気研の組織的な活動が十分にできず(私の病気療養が大きな原因ですが)悶々としておられたようです。私といろいろ話したことで、元気研の活動を再開していくことになり、とても喜んでました。
元気なインフラ研究所のオンラインセミナーを再開します。11月に再開し、今年度は月に2回くらいのペースで開催していく予定ですので、お楽しみに。どなたでも参加でき、録画も配信する予定です。
ちなみに、
第9回(令和7年度第2回)が、「社会が求める技術を読み解く教養」
第10回(令和7年度第3回)が、「革新的な法面工事」
の予定です。
第9回の詳細が確定しました。
マツ&ほそやんの下打ち合わせの動画は以下です。

つながる
復職後、8週目を過ごしています。
先週、教授室を引越しし、昨年の9月までいた土木工学棟に戻りました。大量の書籍を廃棄し、今週、残った書籍も本棚に収めました。
居室で執務できる状態になり、復職してからの状態がさらに落ち着いた状態になったように感じます。
研究、教育、日常等において、なるべく良いと思う選択をして実践していくわけですが、もちろん思ったように行かないことも多々あります。それはそれで受け入れるしかありません。
一方で、選択と実践を重ねたおかげで、思わぬことがつながったり、思わぬ発見があったりすることも少しずつ増えてきたように思います。そういうつながりや発見によって、事態が改善したり、新しい動きが出てくるものです。
今学期は、私は学生の研究の主たる指導教員になれません。そのため、何名かの学生たちに対して副の立場で指導教員となり、主たる指導教員と連携して指導する、という形を取っています。
これまでは、私の研究室では、教員の独立色が強く、研究室全体のゼミはあるものの、個別の研究での連携はほとんどありませんでした。
昨日も、小松先生の研究の打ち合わせに私が参加し、「参加いただいて、良い視点が得られて良かった」という感想も聞き、連携の意義を感じました。
私が病気になったことにももちろん意味はあるし、そこから私が何を学び、どう変化、進化していくかが問われているのだと思っています。病気になったからこそ、教員間の連携も強化される可能性があります。
心身の調子は良好です。毎朝、ルーチンが確立されていて、早めに起床して、体操・柔軟体操もし、乗る電車も同じでバスも同じ、にしています。出勤前に十分にリラックスできる時間も確保しています。
まだ学外に出て講演することができないので、明日は、私が顧問を務める協会のための講演の録画を、協会メンバーに来てもらっておこないます。
オンラインも含めて、いろんな手段を使えば、多少の制約条件があってもかなりのことをすることができますね。
引越し
復職後7週目を過ごしています。
自分の心身の調子を保つためにできることはしっかりやっているつもりなので、幸いに、心身の調子は良好です。やはり最も大切なことは、基本中の基本である、食事をしっかりと取ることと、しっかりと睡眠を取ることを含めた規則正しい生活かと思います。
本日、私の教授室の引越しを行いました。出る部屋と入る部屋の建物が離れているため、学内の公用車のトラックを借りて、学生たちに手伝ってもらって、トラックで三往復しました。
長年の在籍で溜まった本を大量に廃棄しました。
今日は天気がよくなく、昨夜は雨で、本日の引越しを開始するころに霧雨のような状態でしたが、その後、雨は上がり、無事に本日やるべき引越し作業を完了することができました。
この引越しのことがやはり以前から気になっていたようで、ストレスを感じていたようです。一段落してホッとしています。
仕事の方はできること、やるべきことを少しずつ重ねており、私の研究チームは数年前に比べると相当に小さくなってしまいましたが、できることを一歩ずつ、という気持ちで前向きに取り組んでいます。
来年度は通常の状態に戻ると思われますので、産業医の先生からも「二度とない時間かもしれませんね」と言われ、私もそう思います。
後々につながる時間となるよう、日々を過ごしたいと思います。
講演依頼
病気療養期間中には、何件か、外部での講演が決まっていたものをキャンセルせざるを得ませんでした。
9/1に職務復帰して、3ヵ月程度は、安定して勤務ができるかの観察をされる期間となっていますが、その間も、外部での講演はできないことになっています。
3ヵ月程度が経過し、すなわち11月の中旬ごろに、そこまでの勤務状態、健康状態などを見てもらって、いくつかの行動制限が解除される可能性があります。
本日、今年度末ごろ、2026年の2~3月ごろに、ある県のコンクリート診断士会から、講演をお願いしたい、という依頼が入ってきました。実は、この件は2025年3月上旬に予定されていた講演で、私の体調不良によりキャンセルせざるを得なかったものです。
私としては、外部での講演にチャレンジしたい(以前は山ほどやっていたのですが)気持ちも強く、自分自身のモチベーションにもつながるので、できるといいな、と思っています。
毎週のようにカウンセリングしていただいている産業医や、所属組織の長ともよく相談しながら、良い方向に向かうことを期待しています。
来年度は、基本的に通常の勤務状態に戻れる予定でおりますので、皆様、お付き合い、ご指導のほど、よろしくお願いいたします。
ストレスとは
復職から4週目を過ごしています。
昨日は、初めて学外に仕事で出ました。首都高速道路の橋梁委員会で、情報収集・自己研鑽、という意味で出ました。
首都高の大規模更新事業の一つである、東品川の更新事業の視察も含まれていました。工事を開始してから10年くらいのようで、過去に私も学生たちを引率して何度か見学したことのある現場です。着実に進んでおり、以前の海面すれすれの橋梁に比べて、圧倒的に耐久性が向上するであろうことが容易に想像できる構造物でした。

もうすぐ供用される道路の上で

人が歩いている面が過去の海面すれすれの橋梁
現場視察後の委員会にも出席し、首都高側からの話題提供に対して、私も質問と提案の発言をしました。
現場の生の問題、課題を聞くことで、自分自身の研究テーマの発掘にもつながります。こういう貴重な機会を大切にしたいと思います。
委員会に出席するのも久しぶりでしたし、以前であれば楽しく出かけるところを、実は少しストレスを感じながら大学から出かけました。多くの人に会う、というのが主たる理由と想像します。
ストレスを感じている、ということは、何かの刺激に適応しようとしているのであり、自分が努力していることの証左、とも考えることができます。
他にもややストレスを感じることがいくつか出てきていますが、焦ることなく、それぞれに対して適切に対策を実践していくことが、今の私のやるべきことなのだろう、と思います。
朝、決まった時間に起床して、しっかり準備して家を出る、という当たり前のことにも慣れてきました。疲労がたまらないように、早く寝るようにしています。
原稿
職務復帰後、3週目を過ごしています。
9月に修了し、本日が学位授与式であったパキスタンからの留学生(博士)が使っていたJCIのひび割れ解析の使用法を、私が彼から一通り学び、数値解析をできるように、また今後に使う学生の指導をしやすいように、というレッスン?もやっていましたが、昨日がそのレッスンの最終日でした。教員と学生がお互い教え合う、というのも悪くはないですね。
また、自宅療養中に執筆依頼が舞い込んできた、土木学会の暑中コンクリートの計画・設計・施工指針(案)の解説文の原稿を、一通り書き上げました。もう少し推敲するかと思いますが、久しぶりの原稿だったので、少し安堵です。
3週目で、職場での環境に慣れた、という感じではなく、いろんな刺激を受けて反応しながら、一日一日を積み重ねている状況です。
復帰前に予想していたよりも、9月は来客が多く、やはり、どのお客さんとも、コミュニケーションすると何かが一歩前進する気がします。
というわけで、お客さん、お待ちしておりまーす。
今日は修了式で、私が指導していた方で博士号を取得された方が2名、修士号を取得された方が2名でした。たくさん写真撮影いたしました。よく頑張りましたね。おめでとうございます!
来客
今日の夕方、職務復帰後、初の外部からの来客がありました。
これまで長く共同研究をしている企業の上層部の方が来られ、これまでもよい連携ができていましたが(トンネル覆工コンクリートの養生システムで土木学会技術開発賞もいただきました)、私の研究活動を応援してくれている企業です。
フランクに意見交換し、今後の連携の方針について話し合い、今後も支えてくださると言っていただきました。
今の私には大変心強かったですし、不安に思っていたいくつかのことについても明るい見通しを持つことができました。
今日も一日、疲れましたが、今週の中では一番明るい気分で帰路に着くことができました。
これまでもとても多くの方々に支えられてきましたし、私も少しでも周囲に貢献できるよう、自分にできることをやってきたつもりではあります。今後もそうありたいと思います。
来週以降も、いくつか来客の予定があり、それぞれの機会を大切にしたいと心から思っています。
